

『岸辺の旅』に続いて黒沢清監督作品。
舞台はフランスでフランス人俳優のみ出演。
ダゲレオタイプで写真を撮っている写真家と仕事をすることになった若者が
写真家一家に翻弄される物語。
ダゲレオタイプとは、世界で初めて発明された写真撮影法。
被写体を長時間器具などを使って固定し撮影するとっても大変な撮影法。
写真家のステファンはダゲレオタイプの撮影に拘り続け、かつては妻、妻の死後は
娘をモデルにして撮り続けている。
でも撮影がとっても大変で娘のマリーはいつもぐったり。
そんなマリーと、ステファンを手伝っていたジャンはほのかに思いを寄せ合うんやけど、
なんかこのお宅、闇がある。
物語の冒頭からそんな感じはあって、その内マリーの母親が自殺した過去だったり、
その事を悔やみ続けている父親が大変な人だったりという事が分かってくる。
で、やっとマリーに明るい未来が…ってところでハプニング。
そこから先は、ちょっと『岸辺の旅』に似たところもあって、現実なのか妄想なのか、
この世にいるのかいないのかみたいな展開に。
この作品、私は嫌いじゃない。
どうなるんだろうという展開に退屈はしなかったし、主人公のロマンスが切なくて心に残った。
どこからが現実でどこからが現実ではないのかと言う部分も見る人によって違ってそうで
そういうところも面白いし。
海外でも評価の高い黒沢監督作品だけあって、良い役者さんが出てくれてる。
マチュー・アマルリックがめっちゃちょい役で出てたりしてなんて贅沢!
ジャン役の役者さんも注目されてる実力派みたいで、この人の演技が凄く良かった。
濃いお顔だけど笑うととっても可愛いし(←結局そこ)。
特にラストシーンの演技、現実に気付いて、でもやっぱりおかしい…みたいなところの演技、
ここの彼の演技がこの作品の全てを語ってるというか、そのシーンが一番胸に刺さった。
マリー役の女優さんも独特。
華奢で真っ白で透明感があって綺麗なんだけど、幸薄そうな、寂しそうな人。
斜視気味の薄い色の綺麗な瞳が微妙に動くから、どこを見てるのか、何を考えてるのか
分からないと言うような、とても不思議な感じの女性。
だからほんと、この役にビンゴ。
黒沢監督は、恋人同士の描写など、フランス人として不自然ではないのかと確認しながら
撮影を進めていたそうで。
で、この作品軽くベッドシーンがあるんやけど、そのシーンは役者さん側から入れた方がええやろー
と提案されたものらしく。
監督は不要と思ってたみたいだけど、フランス人的感覚ならここまで来たらベッドインでっせとw
私としては、うーん…まぁ別にそのシーン無くても…って感じやけど、あちらの人にとっては不自然
なんでしょうね、相手が幽霊でも^^;