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2008.04.22
「ショーケン」
![]() | ショーケン (2008/03/14) 萩原 健一 商品詳細を見る |
萩原健一・・・・通称、ショーケン。
反逆児と言われ続けたショーケンが57歳になり、これまでの人生を振り返って書き上げた本を読みました。
なんでこの本読んだのか・・・・なんでかなぁ・・・・別にショーケンのファンじゃないのに。
マカロニ刑事は覚えてるけど、それ以外の彼のドラマは殆どまともに見たこと無いし。
増して歌ってるところもちゃんと見たこと無いのに、何でこの本読んだのかねぇ・・・・
私、芸能界って世界で特異な人生を歩んできた人に非常に興味があるんですわ。
特にこの人は、グループサウンズの時代から今日に至るまで、かなりのお騒がせ男。
なんか気になるんだな、こういう人。
で、結構読み応えがある内容だと言うことも聞いて、この本を手にしました。
私がショーケンを一番最後に見たのは、数年前の恐喝未遂事件。
結局その時も逮捕されたかなんかで、「やっぱりこの人、あかんなぁ〜」なんて思ったんだわ。
それまにでも何度か逮捕歴があったし、その時のインタビューの声の調子も変だったし。
でも、この本読んで、少しイメージ変わりました。
文章は彼らしく俺様的だしちょっとバラバラなんだけど、そんな文面で書かれる彼の半生はやはり面白かった。
芸能界に入るきっかけとなった高校時代の様子から、アイドルとしてもてはやされていた時期の本当の姿、
役者として成功を収めていた頃の本音、ドラッグ汚染、女性や友人達との関係、そして何度か味わう
地獄などなど・・・・
本当に本当に波瀾万丈で、アップダウンがすごい。よくこんな人生歩めるなぁ〜って感心しさえしてしまう。
でも、常に彼を慕う人も多く、きっととても魅力的な人なんですね。
一つの仕事に打ち込む姿勢はいつも全力で、とても勉強家。色んな分野に精通し博識で、そう言う部分
では正直意外だった。
だからこそ、多くの著名人や芸能関係者に愛され、長い間ドラマや映画で活躍してこれたのでしょう。
それにもちろん格好いいし。
そして、ロッカーのショーケンとしても一生懸命で、必死に良い音楽をファンに提供しようとしている。
そこまで歌に力を注いでいたことも知らなかったなぁ・・・・
勿論女性にもモテるんですね。なんかそれも分かる気がする。
危険な臭いがするけど知的なところもあり。それにきっと女性にはとても優しいんだと思うし。
でもやっぱりどこか浅はかなのね・・・・・だから大きな失敗も付き物。
逮捕されては干され、反省し、そして立ち上がり・・・・それを繰り返してる。
信仰心も厚くて、何かすると厳しいを修行を自らに強いたりするんだけど、彼にはそれも一生分の行には
ならないみたいで、また失敗をする・・・・確かに人間は失敗を何度も繰り返すものだけど・・・・
それにまぁ、タフなんです。
普通だったらとっくに芸能界を辞めてるか、自暴自棄になってどうにかなってそうなんだけど、おそらく限りなく
前向きなんだなぁ。
生きようとする気力が凄いし。どんなに辛い目に遭っても生きようとする気力だけは捨ててない。
年齢的なこともあり周りが大病で倒れていく中で、どんなに周りにそっぽ向かれても、健康な自分はまだ
ラッキーだと思えるポジティプな人。
どん底になったらプライドとか全然無くしちゃえて、ビックリするような仕事してみたり。
逆風に強いっていうのかな。
ドラッグに浸かり、女に捨てられ仕事を無くし、悔い改めそしてまた失敗し、そんな事の繰り返しで今では
ウォーキングマニアで健康に気を遣う良いおじさん・・・そして今彼は、人生まだ半分と言ってる。
やっぱり面白いよ、この人。
近い内にまた、復活するかも知れないですね。
2008.04.09
「私の男」
![]() | 私の男 (2007/10/30) 桜庭 一樹 商品詳細を見る |
第138回直木賞受賞作品−お父さんからは夜の匂いがした。−
9歳の頃に震災で家族を失った花を引き取ったのは、花の親戚という若い男・・・淳悟・・・
淳悟は花の父親となり、そして男になった・・・・
最近ミーハーに大賞受賞作品を読みあさっております

って言うか、どちらもタイトルや作者に惹かれたって言うのが理由なんだけど。
だいたい「私の男」が養父って事で興味津々になったわけだけど・・・内容は予想とは違っていました。
正直かなり衝撃的・・・HEAVYだったぁ・・・
暗い極寒の海の漁港に立ちこめる魚の腐臭の様な、漆黒の海底からわき上がってくる死臭の様な、
男女が激しく絡み合って匂い立つ体液臭の様なよどんだ生臭さが漂ってきそう・・・そんな物語でしたわ。
心の中が寒々として重くなるし。だいたい近親相姦ってだけでもただ事じゃないんだけど。
でもこういう話、好きなんです。
こういう息苦しいほど泥臭い話に目がないんです。
その泥の深みに、ズルズルと引きずり込まれてしまうんです。
どこにも暖かみもなければ救いもないけど・・・
舞台は花親子が移り住んでからの東京と、移り住む前の北海道。
そのどちらででも、花親子の上空には重い空気が常に垂れ込め、そのどす黒い中で彼らは肩を寄せ合うように
生きている。
花と淳悟だけの世界・・・・花と淳悟だけが決めた世界の中で。
原点はオホーツク海を臨む北海道で、そこから彼らの全てが始まっています。
それは、自らの元となる血潮の貪り合い・・・強すぎて歪な愛と、重すぎる罪の始まり。
出会ったときから、お互いの欠けたパズルのコマを見付けたように引き寄せられた花と淳悟。
まるでそれぞれがそれぞれの体の一部でもあるかのように許し合う彼ら。
求め方も知らず与え方も知らない彼らは、貪欲に欲しふんだんに与えた・・・・
・・・それは神を冒涜した行為・・・
でも彼らはお互いの中に自分を探し、見付け、愛し、また探し続けるという事をやめることは出来なかった・・・
そんな親子の物語。
暗く冷たいオホーツク海に流れる流氷のように孤独に彷徨い、神にも逆らう歪んだ愛を肯定しながら
重い鎖を引きずって生きる親子・・・自分の「血と愛」を探し離れられなくなった親子の話。
生々しくエロティックな描写には少々驚かされるけど、彼らを取り巻く人々や情景が実に綿密に繊細に
描かれ、この罪の親子の重苦しい生き様を一層引き立たせています。
勿論彼らに共感なんて出来ません。したら大変です。
でも何故かこういう話に惹かれる・・・有り得ないけどこういう男女の繋がりに、そして彼らの心の奥底に潜む闇
に興味が沸いて仕方がない。
何よりこの父親、淳悟と言う男が、女から見ると何とも魅力的な男なのよ。
優しさと残酷性を持ち合わせた危険な臭いのする男・・・・
ちなみに私の頭の中では、淳悟には豊川悦司さんがキャスティングされ、姿が重なって仕方ありませんでした〜

2008.03.26
「乳と卵」
![]() | 乳と卵 (2008/02/22) 川上 未映子 商品詳細を見る |
第138回芥川賞受賞作品。豊胸手術を受けようと妹の住む東京へやって来た巻子と、その娘、緑子。そして、巻子の妹の「わたし」。
この3人の何とも言えない3日間が、関西弁が織り交ぜられながらの長い長い一文で綴られた独特な
味わいのある作品です。
シングルマザーをしながら疲れ切っている母、その母と口をきかない娘。
胸に執着する母、そんな母に、女という生き物に、生命に疑問を抱く娘。
何故胸を大きくしたいのか・・・何故1人で必死で自分を育てているのか・・・・
何が幸せなのか・・・何故自分を生んだのか・・・・では人は何故人をこの世に生まなければならないのか・・・
そして、そんな2人を迎え入れ、彼女達を血の繋がった女同士として見守る母の妹。
女達はそれぞれに何かを模索し、何かに触れたがっている・・・・
女は、本当に妙な生き物。
強かで、傲慢で、優しくて、誠実で、哀しくて、弱い。
そして体も妙。
胸には千差万別の形の膨らみを持ち、そして子供を産むための卵を腹に抱えながら毎月出血を繰り返す。
なんて素晴らしくて、そしてうっとうしいんでしょうか・・・・
それが女・・・・
この作品ではそんな女達の欲深さ、血の繋がった女達同士の摩擦、愛や絆、まさに女という生き物
そのものがストレートに生々しく描かれています。
そして独特な関西弁の語りで更にねっとりとした風合いが出されていて、つくづく女のめんどくささと
愛らしさを感じ、ついでに自分自身のめんどくささにも思いを馳せたのでした・・・
2008.02.04
「ホームレス中学生」
![]() | ホームレス中学生 (2007/08/31) 麒麟・田村裕 商品詳細を見る |
お笑い好きなワタクシ、最近流行の芸人本は全部とは言わないけど、面白そうなのは必ず読むように
しております。
そしてこの「ホームレス中学生」は、あらゆる芸人本の中でも記録的売り上げとなり、読まないわけには
いかん!とGETです

著者はご存じ、漫才師の麒麟の片方、田村裕。どっちかというと格好良くない方。色の黒い方の彼。
芸人さんってものすごい貧乏育ちの人が多くて、だからこそそう言う経験が芸に繋がってる人が多いんだけど、
その中でも彼の経験は凄まじい。
何と言っても中学生の頃に親に捨てられてるんですから・・・・
そしてその後一ヶ月を公園で暮らすという、いわゆるホームレスをやった彼の経験談は、これまでも
あらゆるバラエティー番組である程度語られていたので知っていました。
その彼の貧乏体験談を改めて本にして、何故そこまでウケているのか正直不思議でした。
そして読んだ結果・・・・何度も泣きそうになってしまった・・・
そう・・・泣けるんです。この本。
まず、とても読みやすい。ま、田村君が書いたんだから当然ですが、この時代では考えられない彼の
中学から高校にかけての壮絶な体験と、そして何故彼が数々の困難を乗り越えてこられたかが、
実に明快に書かれています。
もちろん流石芸人!と思わせる上手い表現も所々に使われていて笑える部分も多々あり。
そして、彼の出会った人達への感謝の思い、そして何より、彼が小学校の頃になくなったお母様への思いに
胸が熱くなる・・・泣けてくるんですよね・・・
この本は、私のようにある程度年を重ねた人間が読んでも胸に響くけど、何より若い人達に読んで欲しい。
確かに田村君自身の明るく純粋な性格による人徳も彼の人生を助けてるとは思うけれど、
人との出会いがいかに大切か、暖かい家があって美味しいご飯が食べれてと言う当たり前だと
思っている事がどれだけ有り難い事なのか、そしてどんな困難があっても決してクサらない事が人を明るい道に
導いてくれる言うことを改めて教えてくれます。
後半にもなると随分文章が上手くなっていて、田村君自身が書いてる内に物書きとして成長してると
言うことも見えてくるこの本は、面白くて切なくて暖かい気持ちになる、とても素敵な作品です。
2007.11.24
『アンテナ』 by 田口ランディ
![]() | アンテナ (幻冬舎文庫) (2002/06) 田口 ランディ 商品詳細を見る |
加瀬亮君が主演してると言う事だけで見た映画、 『アンテナ』。
この映画、加瀬君の熱演も助けてだけど思いの外興味深い物だったので、ベストセラーになった原作を
読んでみました。
原作と言うのは勿論映画より、より詳細であることは当然で、映画には無かった部分が多々あるのも当たり前。
で、この作品はというと、あの暗く重い映画を更に重くしたような・・・
色んな意味でヘヴィに書かれていて、この原作をそのまま映像にするとグロテスクなだけのホラーやオカルトに
なってしまうかもしれない・・・と言うような感じ。
と言うことで映画版はかなり美化されているとも言えます。
でもまぁ、あの短時間に、しかも要点だけを上手い具合に抜粋してまとめ、見てるこちら側の心に響くように
作られている点には改めて感心させられてしまうのですが。
それ程原作は、複雑で残酷で闇が深く、そして何と言ってもとにかくグロい。
性描写も悪夢も妄想も、いちいちグロテスク。
読んでいるだけでその暗く生臭い世界に引きずり込まれてしまいそうなぐらい・・・
人は「死」によってその存在が無くなる意味を理解する。
でもある日それが突然消えた場合、その「消失」をどう考えるのか・・・・
少なくとも主人公祐一郎の一家は、いなくなった妹の陰をそれぞれが追い続け、それぞれが妄想を膨らませ、
歪な家族となっていた。
そして祐一郎はSMの女王様、カオリに出会って溜め込んでいた物を解放し、妹の消失への自分なりの
対処法を何とか見出すのだけど、それまでの過程が何とも衝撃的で過酷。
映画でも祐一郎は、性欲を解放していくのに比例して前へ進んでいくのだけど、原作ではその様子が
もっともっと生々しく、なんともえげつない描写で描かれています。
それ程に彼の闇は深く、本来人が成長と共に得る正常な性欲を、無意識的にものすごい力で封印してきたと
容易に想像できる。
「人は性欲に支配されている」と言う言葉が出てくるほどこの作品を読む上で「性」を切り離すことは出来ない。
でもそれは決して猥褻な意味では無く、人として生きる当然のエネルギー源として書かれてるのだと
思うのです。
祐一郎は恐ろしいまでに目覚めた自分の性欲と向き合い、それを乗り越えて初めて、いなくなった妹と
まともに対峙できるようになった・・・・
この作品では終始、性欲も含めて人の奥底に眠る潜在意識について触れられています。
人はみな潜在的に様々な事に気付いているけど気付いていない・・・・気付こうとしていない・・・
この作品中では、それらに気付き向き合い、表現しているのが弟の祐哉とカオリなのです。
私自身は霊感が無いと思ってるけど、そう言う世界には興味もあるし科学では説明できない世界がある
と言うのも信じています。
この作品ではある部分非科学的で、そしてある部分とても科学的。
オカルトめいた部分もあれば、そうでないところもある。
きっと弟の祐哉とカオリは少なくとも霊感の強い人なんだろうけど、それらはあくまでも彼らの「妄想」から
来ているのだと説明されてるところもあるのです。
それがどちらかなのかは読んでる人の解釈に委ねられるところなんだろうけど、でもこの作品中にある
「直感は完全で、言葉は不完全」という一文に、私は凄く納得させられる。
だって実際、人の言葉より直感の方が頼りになったりするでしょ。
人って元々犬とか猫みたいに、祐哉やカオリみたいにもっと鋭かったんじゃないんだろうか・・・
これは以前から私が勝手に思ってることだけど。
本当はみんな何かを感じてる・・・みんなアンテナを持ってる・・・
それは「無意識」という物の中に納められて忘れられているだけで、本当は色んな事を見て、感じている・・・
世間体や理性を言い訳にして、色んな欲や思いを抑圧している現代の人間。
「家族の失踪」を軸に、か弱くそして強く、欲深い現代の人間の性(さが)があからさまに描かれたこの作品。
誰もが共感できる物とは思わないし、寧ろ嫌悪さえ感じてしまうかも知れないけど、私は映画とはまた違う衝撃を
改めて感じ、とても興味深く読むことが出来ました。
2007.06.22
『14歳』 by 千原ジュニア
![]() | 14歳 千原 ジュニア (2007/01/13) 講談社 |
最近お笑いブームで、芸人さんが自伝的な本を書かれてることが多いですね。
その中でも私は千原ジュニアさんが書いた物を選んでみました。
私が最初に千原兄弟を見たのは大阪にいた頃だったのでもうかなり前・・・
当時の千原兄弟のお笑いにはたいして面白いと感じることはなかったけど、
ここ最近、東京で頑張る千原兄弟はかなり面白い
って思います。何故だか分からないけど・・・昔より全然面白い

元々彼らはコントよりトークが面白いって話もあるけど・・・
特にジュニアさんは違う。お兄ちゃんはそんなに違いを感じないんだけど。
大阪時代はもっと鋭くて尖った感じでした。
大きな病気や大事故を乗り越えて、彼の中の何かが変わったのか・・・
人間味が増し、本格的に面白くなってます。
特に「すべらない話」などの彼のトークは素晴らしい

オチに持っていくまでのたたみかけるような話術が最高です

で、彼の自伝に興味を持ちました。
引きこもり時代があったというジュニアさん。
そんな、部屋にこもりっきりだった彼の14歳頃のお話。
とても変で、難しくて、フツーじゃない14歳。
何かにぶつかり、何かを探し続ける14歳。
この本からは、そんな14歳のジュニアさんの叫びが聞こえます。
そして、確実に彼を救ってくれたあのお兄ちゃん。
いつも「残念な兄」と称される、あのブサイクなお兄ちゃん

淡々として何も考えてないように見えるけど、彼の弟への愛を感じます。
家族に迷惑をかけそれがとてつもない我が儘であったとしても、
それでも彼に光が射した時、感動せずにはおれません・・・
暗闇から這い出て、自らが戦うべき場所を見つけたジュニアさん。
これを読むと彼の非凡な才能と繊細さが伝わってきます。
これからも、鋭くてすきの無い笑いでどんどん活躍していって欲しいです

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