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映画、読書感想などボチボチ書いていきます★
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『紙の月』



銀行でパート勤めをするごく普通の主婦が引き起こした横領事件と、その主婦の友人や元恋人、
同級生がその事件を思い起こしながら「金」に翻弄される日々を描いた物語。

私はこの話はドラマで見ていた。
で、先日映画を録画したのでその前に原作をと思って読みました。
私は角田光代さんの書く文が本当に好き。
するすると入ってくるし、当然ドラマ以上に色々と考えさせられ重い気持ちになる。

主人公はごく普通の主婦。ただちょっと思い込みが激しい?完璧主義?真面目すぎ?
そんな感じだろうか。
結局何故彼女がそこまでしたのか判然としない。
判然としないけど分からなくもないから面白い。
きっと女なら、誰にでもある「魔」のようなもの…
我儘と言えばそうだけど、女性特有の寂しさ、不安、焦燥感…
主人公のそれが何となく分かるから面白い。
そしてこの作品では主人公の友人達の金銭感覚も少し描かれている。

角田光代さんは女の業を描く事が多いけど本作品の象徴は「金」。
金銭感覚は、主婦になれば家庭の経済事情に従うべきだけど、中には病的に
変えられない人がいる。
私の友人にもいるけどやはり壮絶な寂しさを抱えた人。
金や物が寂しさを埋めてくれるのは一瞬なんやけどね…

『怒り』



犯行現場に「怒」と言う文字が残された殺人事件の真相に迫りながら、
その事件に翻弄される人達のドラマが描かれた物語。

映画化されるって聞いて読んでみた。
吉田修一さんの作品はこれで3作目だけど、どれも切なくて苦しくて遣る瀬無い。
でもそういうところが好き。

上巻は事件に翻弄される人達のそれぞれのドラマでちょっと時間がかかったけど、
下巻は一気に真相に迫っていくのであっという間に読めた。
はて映画はどんな感じか。楽しみ♪


『永遠の0』

永遠の0 (講談社文庫)永遠の0 (講談社文庫)
(2009/07/15)
百田 尚樹

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ある兄弟が、太平洋戦争時特攻で戦死した祖父を調査するところから始まる話。
戦後二人の祖母が再婚した相手に可愛がられた二人は実の祖父の事は殆ど知らず、
ただ母親の為にと戦死した祖父の事を調査、生存している元特攻の人々を訪ね歩く。

元特攻の人達から聞く彼らの祖父は、非常に優秀な飛行士でありながらとにかく生きたいと
堂々と願う男…
そんな祖父を「臆病者」と揶揄する者もいながら調査を進めていく内に、その真実の姿、
戦う姿が見えてくる。

空戦など戦闘描写が多いのでその辺に興味の無い人はなかなか読みにくいかもしれない。
私も序盤はちょっとしんどかった。
しかし読み進めていく内に色濃く描かれていく悲惨な戦況、日本軍の愚かしさ、
負けると分かっていながら飛び立つ飛行士達の思いが胸を締めつける。

最後は号泣してしまった…
美しい話にまとめられてるように思うけど、これは決して美談では無い。
やはり戦争はあかん。
でも国の為、愛する者の為と言う理由を無理やりにでもつけ、その命に抗う事も出来ず
旅立った兵士達を責める事は出来ない…
ただただ、戦争はあかん…

多くの人にこの作品を読んで欲しい。特に若い人には。
どう思うかは読者によって違ってくるだろうけど。
戦争作品は私も色々見てきたつもりだけど、特攻に関しての詳細は本作品で初めて知ったし。
つい70年前まで日本は優秀な若者の多くをこんな形で失っていた言う事をリアルに感じられた。

『激流』

激流激流
(2005/10/21)
柴田 よしき

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20年前、修学旅行時に行方不明になって以来見つからないままの同級生から、
当時同じグループだった面々に突然メールが届く…
メールを送ってきたのが誰なのか、その他登場人物を取り巻く様々な事件なども
絡み合ってのサスペンス。

感想は…うーんちょっと疲れた(*_*)

突然姿を消した同級生はどうなったのか、様々な事件は行方不明事件と関係してるのか…
話の行く末がそれなりに気にはなったけど、とにかくなぁんかまどろっこしく感じた。
登場人物の話がやけに長い…だから眠い時に読むと睡眠誘導剤状態(笑)

『五月の独房にて』

五月の独房にて五月の独房にて
(2009/01/29)
岩井 志麻子

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同じ職場の女性を殺害するなどの罪で服役している女を描いた物語。

主人公はや美容院の敏腕マネージャー。
実母を憎み、その母の呪縛から逃げるかのように結婚し美容院に勤め出入り業者と不倫、
挙句売れっ子美容師を殺害しバラバラにして遺棄した女の話。

この作品、実際にあった事件を志麻子さんが脚色して書いたものだとか。
私自身この事件はすっかり忘れてたのでググってみたら、確かに犯行に至るまでの
過程などほぼ小説と同じ。
女同志でのここまでの残忍で猟奇的な事件と言う点など、志麻子さんはこの犯人に
深く興味を持たれたんだろう。

角田光代さんの『三面記事小説』同様、実際あった事件の背景や関係者の心理など、
作家さんのアレンジで書かれた作品すごく面白い。
本作品は志麻子さんなのでグロいところもあったけどやっぱり面白かった。
母に、男に、自分に関わる全ての人に責任転嫁し続ける女のなれの果て…

やっぱり私は岩井志麻子の表現が好き。
残酷で冷たくて美しい描写。
女のグロ作品でもそこら辺は真梨さんとは違う。
真梨さんも好きなんですけどもw
しかし本作品を読むと、母親の娘への影響の大きさに改めて恐怖。
気を付けないと^^;

『球体の蛇』

球体の蛇球体の蛇
(2009/11/19)
道尾 秀介

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遠い昔に起きた哀しい事故、そこにあるそれぞれの秘密、悔恨…それらに揺れながら、
痛みを抱えながら生きていく人々の話。

凄く良かった。久々に読書で泣いた。
道尾さんらしいと言えばそうだけど、彼の作品の中では一番良かったし読みやすかった。

誰も悪く無いのに皆が自分を責め、その思いに雁字搦めになり…
でもそこには愛があり、愛があるから苦しくなる。
何とも切ない話だった。
ハッピーエンドだったのが良かったかな。

『岡山女』

岡山女岡山女
(2000/12)
岩井 志麻子

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明治の岡山、愛人に左目を切られて霊感が強くなり霊媒師になった女の話。

哀しい霊媒師に様々な相談を持ちかける客、それぞれの謎解き話がオムニバスで綴られている。
ホラーと言ってもそんな怖くもなく…志麻子カラーの明治ロマンスピリチュアルサスペンス
って感じ。

これまで読んできた作品に比べればグロさもエロさも無く、心霊現象と言っても怖くなく
結構あっさりした感じがしたかな。
主人公の霊媒の女のキャラが何とも哀しく…自らの左目を奪い、自害した愛人の魂と
時折語らうその主人公に魅力を感じる作品でした。

『悼む人』

悼む人悼む人
(2008/11/27)
天童 荒太

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第140回直木賞受賞作品

主人公は1人の青年。日本中で亡くなった人々を悼む旅を続ける青年。
彼は何故か、事故や事件、あらゆる理由で亡くなった人が亡くなった場所を訪ねては、
自らのやり方で悼み続ける。
それが時には遺族を傷つけても、青年はその足を止める事無く旅を続ける。

その旅の理由は家族にさえ明らかにされず、本当のところは誰にも分からない。
主人公は一体何の為に見ず知らずの人の死を悼み続けるのか…
彼の行為は善なのか悪なのか…
その主人公を取り巻く人々が、彼の悼む旅の真意を探っていきながら、『死』とは何なのか、
延いては『生きる』とは何なのかを考えさせられると言う物語。

この作品好き嫌いが分かれそうだけど、私には良かった。
久々に読んだ後、しばらく感動に浸れた。
とても深く、そして実にシンプルに、人が生きる事と死ぬ事について改めて考えさせられた。

人生は辛い。世の中は欲にまみれ、醜い。
でもどんなに辛い人生でも、最期のその時を、自分は生きてる間に確かに誰かに愛され
必要とされていた事があったと実感しながら迎える事が出来るのなら、それは人生の
幕引きとしては最高なのかもしれない。

『悪の教典』

悪の教典悪の教典
(2011/11)
貴志 祐介

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ある高校の人気英語教師の裏の顔が描かれた作品。

映画になったので読んでみた。
一言で表せば、殺人エンタテイメント。
シリアルキラーによる数々の殺人術が描かれた作品。
ここまで来たら主人公は完全に化け物なので割り切る事は出来るけど、
下巻になるとちょい疲れたw

前半はそのターゲットにもある程度の理由があって…それもかなり勝手な理由だけど…
その辺りはまだそれなりに楽しめた。
でも後半、教え子達…の場面は流石にちょっとキツくなった。
ただ、淡々と主人公の殺人劇が描かれながらも、現代の若者、教師、親子が抱える問題にも
触れられている。

本分の最後に映画を監督した三池崇史の作品への賛辞があるけどそれが面白かったわw 
三池さんほんとに主人公大好きみたいで、ヒーローって書いてるし。
シリアルキラーのヒーローで思い出すのはハンニバル・レクター。
伊藤英明のハスミンも捨てがたいけど、私はやっぱりレクターが良いw

私はこの作品に対して三池さんの様には感じられない。
エンタテイメントと分かっていても辛くなったし。
まだ自分の心に柔らかい部分があったなって自覚出来たw 

『クロク、ヌレ!』

クロク、ヌレ!クロク、ヌレ!
(2008/09/05)
真梨 幸子

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ある作家とその友人の画家志望の男、二人の友情を巡って描かれたミステリー。

本作品は珍しく女より男のドロドロを描いたもの。変な女もいっぱい出てくるけど。
一応これもミステリーだけど、その真相は結構どうでも良い感じなのは他の作品と同様。

真梨作品と言えば阿呆な女達の滑稽な程の醜い諍いが何より楽しいんやけど、
これはテイストが違ってたからかこれまで読んだ作品程にはハマらなかった。
相変わらず何が言いたいのかいまいち??やし。
でも、やっぱりどんどん読み進めてしまうって事で私は紛れも無く真梨ファン。

『クロク、ヌレ!』と言えばストーンズの「Paint it Black」で作中にもストーンズが
度々登場する。
特にバンド創始者でありながら脱退した故B.ジョーンズについて触れられている。
ブライアンが脱退に至るまでに抱いたであろう嫉妬や孤独を、登場人物の男達の心理に
ダブらせてる感じ。

そして何より真梨さんご自身がストーンズファンっぽい。
何故なら今日読み終えた真梨作品にもストーンズがちらっと登場するから。
だから私はこの人の作品に惹かれるのかもなぁって本作品を読んで思いました。
特に彼女はブライアンがお好きなのかもなぁ…

『更年期少女』(みんな邪魔)

更年期少女更年期少女
(2010/03)
真梨 幸子

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70年の少女漫画に心酔する中年女性達が作るサークル。
そのメンバー達の裏表の姿を描いたミステリー。

この作品は真梨幸子ドロドロ三部作のひとつ。
とにかくめーっちゃドロドロww 
真梨さんってなんでこう登場人物を虐めたいんやろうw

メルヘン満載の漫画を熱狂的に愛するおばさん達は、サークルで顔を出す姿と
実際とでは皆全く違っていて、その実際の姿の描写がそれぞれ酷過ぎる。
読んでて最初は気持ち悪くなる程やったけど、そのうち可笑しくなってきた。
そりゃ中年女は皆悩み多いけど、揃いも揃ってこれは酷いww

でも、同じ年代の女として全く分からないでも無い、どこか共感出来る部分もあるから
面白く読めてしまうのかもしれない。
こんなに酷い話にちょっとでも共感できてしまう部分があるのは認めたくないんやけど(笑)

真梨作品と言うのはだいたい結局はミステリーの謎解き物語。
でも推理とはちゃう。
登場人物の残酷な現実をたっぷり覗き見して、最後に突然答えに辿り着く感じ。
誰が真犯人やろうとか一応考えるけど、決してそれは重要では無い。
見栄っ張りな女達の醜態を楽しむのが彼女の作品。

しかし真梨作品を次々読みたくなる私っていったい…って思ってしまうぐらい
彼女の作品は何の救いも無く感動も無く醜い。
私が読んできたのはどれも、女の真っ黒な腹をぱっくり割ってぐちゃぐちゃにして
泥の中に投げ捨てると言う感じ。
でもここまで来るとこれはドロドロエンタテイメント。
勿論次も真梨作品です(^^;)

ちなみに本作品は、文庫本としては『みんな邪魔』として発売されています。

みんな邪魔 (幻冬舎文庫)みんな邪魔 (幻冬舎文庫)
(2011/12/06)
真梨 幸子

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『女ともだち』

女ともだち女ともだち
(2006/06/23)
真梨 幸子

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高級マンションで起きた連続殺人事件の謎を女性ライターが追うミステリー。

『殺人鬼フジコの衝動』『みんな邪魔』と本作が真梨作品のどろどろ三部作だそうで。
どろどろと言うかグロテスク…あ、それってどろどろかw 
私的には『弧虫症』の方がどろ度が高い様に感じる。

女友達同士の関係のどろどろが強く描かれてると思ったけど、それよりは孤独な女達の
哀しい事件みたいな感じ。
登場人物の持つ闇があまりに濃過ぎて友人関係云々はあまり印象に残らない。
そして事件の真相が見えそうで見えない展開に焦らされて一気読みしてしまう。
そこら辺は流石と言うか。

真梨さんってほんと女のどろどろ書くのがお好きみたいで特に高級マンションを舞台にされる。
一見勝ち組に見える女達の本当の姿みたいな。
私が彼女の作品を手にしてしまうのは、自分もかつてそう言う世界にいて今はそこから
抜け出しているからかも。
私が居た世界も結構などろどろやったし。