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映画、読書感想などボチボチ書いていきます★
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『代償』



小学生の頃に両親を亡くして以降数年に渡って不遇な環境で生きた主人公が、
弁護士になってから再び子供の頃に味わった苦悩と対峙する物語。

これ、動画サイトでドラマになったんやーふむ。
面白かった。
主人公の少年が遠縁に当たるらしいある母子に人生をめちゃくちゃにされるお話で、
ほんと読んでてムカムカするんやけど、でもどうしてもリベンジしてほしいと言う気持ちになるので
結末がどうなるのか知りたくてぐいぐい読み進められる。

この遠縁に当たるらしいという母子がまぁなんと言うか、悪魔の親子と言うか。
でも、こういう種類の人達、いないことも無いんだよねこの世の中、信じたくないけど…
時々おぞましい事件があるもん、こういう人達が起こす事件が。
まさに、そう言う人達に人生を狂わされる少年が主人公。
特に、母子と言っても息子が怖い。
主人公と同級生の息子なんだけど、こいつがサイコパスなのね。
そんで、そいつと血の繋がらない母親がクズと言う。
なんでしょうね、こういう人って、その悪知恵をもっと有用に使えば社会的にもっと高い位置に
行けるんじゃないのって思うんやけど、それがそうはならないからこういう事件が起きる訳で。
って言う、決して逮捕されないように凄い悪いことが出来てしまう男とその母親に、
中学生時代をめちゃくちゃにされ、その後は素晴らしい人に出会って弁護士にまでになって
またこの母子と対決すると言うお話。

突っ込みどころはあるにはある。
この母子のせいで主人公は大人になってもパニック障害を時々起こしそうになるし、
とにかく自分を責める癖がついてしまっている。
そんな彼がなんで弁護士に?って読んでて思ったりして、登場人物の台詞にも出てくるけど。
そんな弱くてお人好しでまたやられるんちゃうの?ってイライラしたり、主人公より彼の
親友の方が頭が切れたりして。
ま、弱いところがある主人公だから共感できるところもあるんだろうし、そんな弱い彼が
弁護士と言う仕事を選んでるところにも、この作品の面白さがあるんでしょうけどね。

そんな、イライラ、時々心で突っ込みながらも、どうやって主人公がサイコパスにリベンジするのか
最後まで楽しませてもらいました。

『出版禁止』



雑誌に掲載予定だったのに封印されてしまったあるルポルタージュを追った作品。

テレビ番組で取り上げられたという帯に惹かれてげっと。
なんかとても不思議な作品だった。
世間を騒がせた心中事件を追ったルポを、本作品の著者が内容に興味を持ち、探り、
謎解きを考察すると言う作品。

確かに、著者が興味を持ったとされるルポの内容自体はミステリアスで先が気になって
一気読み出来る。
そしてこのルポと言うのが、著者の長江俊和氏が仕掛けた謎解き物語らしく。
前にも「放送禁止」と言う作品を彼は書いていて、それを読んでからのほうが楽しめたのかな。

謎解き系と知って、でも再読する気も無いので、いつものようにネタバレ系の皆さんに頼り。
皆さん長江俊和氏の仕掛けに慣れてらっしゃるのか、色々と教えてくださいまして。
それでいろいろ分かってきたけど。
例えば登場人物の名前がアナグラムになってるだとか、確かにそう言われてみればへーと
思うものの、別にそれがめっちゃ面白い!とも感じず…
謎解きと言っても分かってスッキリと言うのとはまた違う感じかな。
でも、細かくあれやこれやとなぞなぞみたいに考えたい人にはお勧めかも。
とりあえず、「放送禁止」も読んでみよう。

『少女』



人が死ぬところを見てみたいと言う気持ちを持った少女達の物語。

高校生と言う難しい年頃の、難しい女子の、まぁ言えば友情の話。
ただそこは湊かなえなので、単に感傷的な友情話では無く、ちょっと怖いブラックな青春物語。
とにかくJKってのは、ややこしい生き物です。

『ソロモンの犬』


ソロモンの犬 (文春文庫)ソロモンの犬 (文春文庫)
(2010/03)
道尾 秀介

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ある大学教授の息子が飼い犬に引きずられ轢死した事件の謎を、
その大学に通う学生が追う物語。

サスペンスであり甘酸っぱい青春ドラマでもあり、道尾さん作品にしてはコミカルな
部分も多々あって、哀しい事件を背景にしながらも爽やかな作品だった。

でも私はやっぱり道尾さんの作品ではもっと切なくて哀しく暗いのが好きやなぁ。
コミカルな部分もそんな別に笑われへんし。
サスペンス的にもいまいち入り込めなくて、なかなか読み進められなかった(´・_・`)

『白ゆき姫殺人事件』

白ゆき姫殺人事件白ゆき姫殺人事件
(2012/07/26)
湊 かなえ

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ある化粧品会社の美人社員が殺害された真実を追った物語。
ある週刊誌の記者による、関係者の証言のみで綴られている作品。
後半はその記者や関係者の架空のSNSでのやりとりや、架空の週刊誌記事なども
掲載されているちょっと風変わりな作品。

被害者や容疑者を取り巻く人達の話は、それぞれの視点で語られる為何が真実か見えてこない。
それがこの作品の面白みかな…
何事も、置かれてる立場で見方や捉え方は違うから、決して客観性を忘れてはいけないと言う事。

正直湊さん作品としてはいまいち。
映画化されるみたいやけど。

『さよなら渓谷』

さよなら渓谷さよなら渓谷
(2008/06)
吉田 修一

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幼児殺害事件をきっかけにある謎めいた夫婦の真実に迫る物語。

真木よう子主演で映画化って事と『悪人』の吉田修一さんの作品って事で読んでみた。
面白かったあ…しばらく何とも言えない余韻に浸った。
うん、『悪人』の読後感に似てる気がしたわ。

人は最も憎い相手を愛する事が出来るのか。
憎しみは愛に変えられるのか。あるいは決して愛に変わる事は無いのか… 

私は本作品を読んで無性に切なくなった…切なくて遣る瀬無くて…
憎み続けなければならない、愛してはいけない、幸せになりたくてもなってはいけない…

ある意味本当に美しい愛の物語かもしれないのにどうしようもなく遣る瀬無い…
こういうのほんと好き。
『悪人』もほんとに良い作品だったけど、本作品も素晴らしい。

『白い薔薇の淵まで』

白い薔薇の淵まで白い薔薇の淵まで
(2001/02/05)
中山 可穂

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主人公の女性が美しい女性作家と恋に落ち翻弄される物語。

中山可穂さんなので勿論百合の話。
本作は前に読んだのよりも一層激しい女同志の恋愛。
痛みを伴う激しい恋愛。
しかし主人公は男の恋人もいてノンケのはずなのに、ほんとにここまで同性に
落ちるものかね…

物語の始まりと終わりのトーンに温度差があって、後半の展開からは
なんとなくやっつけ感が感じられる。
それもあって後味はいまいち…

『チャイ・コイ』

チャイ・コイチャイ・コイ
(2002/06)
岩井 志麻子

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日本に恋人がいながらベトナムの青年に一目惚れし、深い関係になって行く過程を
描いた作品。

これまで読んだ志麻子作品に何度も登場したベトナムの愛人、その彼に何故惹かれたのか、
どうやって男女の関係になったのかがこの作品でよく分かった。

いわゆる官能小説。
志麻子作品はだいたいエロいけど、私が読んできた中でも最も描写が具体的で猥褻
じゃないかな。
いやしかし、猥褻と言うにはあまりに美しいと言うか…
確かに猥褻なんだけど、その描写を色鮮やかに彩る志麻子さんの筆力にまた私は圧倒
されてしまった。

彼女にとったら暑いベトナムで見るもの聞くもの、食べて飲むもの全てが愛人との睦事に
結びついていて、その一つ一つの表現が実に繊細で大胆で美しい。
寝たい男を思うだけで女はこんな事を思い、こんな風になり…
性描写より、欲情する女の心の襞を描いた極彩色な表現に私は酔った。

本作品も多分著者自身のお話だろうけど、よくぞここまで性癖を晒しちゃってw 
ま、多少脚色もあるやろうけど。
いつもの様に私は彼女を思い出しながら、なんでモテる?って思ったけど、
とにかくあの方は若い頃からフェロモンを発散してたらしい。
男だけが好む臭いを発散してたんだろう。

とにかくベトナムの愛人は、彼女にとっては関係を持った数多くの男の中でも
余程心に深く刻まれた人なのでしょう。
この作品でそれが改めてよく分かった。
女性が好む官能小説だと思います。お勧め。

『私小説』

私小説私小説
(2004/01)
岩井 志麻子

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ベトナムの愛人との逢瀬、その別れが綴られた著者自身の話。

前に読んだ『楽園に酷似した男』に登場したベトナム男と韓国男との事が更に
詳細に書かれた作品。
『楽園…』はある意味言葉遊び本だけど、本作品は彼女らしい表現もありつつ
より分かりやすい体験談になっている。

彼女の実体験はエロティックでかつロマンティック。
その描写も素晴らしい。
異国の良く分からない男を愛人に持つスリル、美しい年下の愛人への中年女の愛情、
母性、そして肉欲…
私は東南アジア系の男子にあんまり興味無いけど、でも、こう言う話は女性が好きな、
ある意味うらやまな話ですわ。

でも私はまた読み始めてすぐ、なんで岩井志麻子ってこんなモテるのぉ?て思ったw 
だって、本作品では彼女が高校時代から奔放な様子も書かれてて、その容姿は
昔から色香を振りまいてる如くに書かれている。
でも…眉毛無かったら枝雀師匠…顔ちゃうんやろなぁ…
フェロモンってやつかな…

『再会』

再会再会
(2010/08/06)
横関 大

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ある事件をきっかけに4人の幼馴染が再会。
そこから見えてくる事件の真実を追うサスペンス。

ドラマで放送って事で読んでみた。
4人の主人公それぞれの苦悩にやるせなくなったりどんでん返しがあったり…
確かに映像化されやすそうなお話。
難解では無いので一気読み必至。

『セカンドラブ』

セカンド・ラブ (文春文庫)セカンド・ラブ (文春文庫)
(2012/05/10)
乾 くるみ

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真面目な青年と美しく育ちの良い女性が出会い恋におちる。
ある日青年は、恋人と酷似した女性がもう一人存在する事を知る… 

「イニシエーションラブ」を読んで以降、乾さん作品を手にする度に
あの面白さをつい期待しまってきたけど、未だあの程の感動には巡り合えず…
その中でもこの作品は比較的「イニシエーション…」に近いのかも…
いやでもあれ程の面白さは勿論無いけど、本作品も又なんちゅうか、何とも言えない怖さが…
「イニシエーション…」よりも怖いかも。

謎が解けるまで焦れたけど、解けたからと言って痛快さは無い感じ。

『三面記事小説』

三面記事小説三面記事小説
(2007/09)
角田 光代

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実際に起こった事件を元に書かれたフィクションオムニバス。

面白かった。怖かった。
実際に起きた事件の背景を角田さんが脚色。
そこには切なく哀しく理不尽な人間ドラマが繰り広げられ、本当にその様な背景があって
起きたのではないかと思わされる。だから怖くなった。

角田さん小説は結構読んできたけど、これまではどちらかと言うと感動したり爽やかな余韻が
残る事が多かった。
でもこれは違う。
やりきれなくて恐ろしくて後味が悪い。
だって、中には私自身覚えてる事件もあって…フィクションとはいえ怖い。
やっぱり角田さんは凄い。お勧めの一冊。