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『森に眠る魚』


森に眠る魚 (双葉文庫)森に眠る魚 (双葉文庫)
(2011/11/10)
角田 光代

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東京の文教地区を舞台に、同世代の子を持つ5人の母親の関係を描いた作品。

洗練され教育レベルの高い町で幼い子供を育てる5人の主婦。
各々違った環境で生きてきた5人が悩み多き育児生活の中親しくなるが、小学校受験への
価値観の差などからその関係に変化が生じる。

まるでかつての私自身の話かと思うぐらい思い当る事だらけの物語だった。
5人それぞれかなりキャラは違うし考え方も違うけど、彼女達がその時々で感じる不安、
嫉妬、焦燥感など、どれも昔自分がチラッとでも感じた事のある事だったり、またそれぞれの
登場人物に関しても、そう言う人を間近で見た事があると言う感じ。

幼い子を持つ母親は強烈、猛烈に孤独だ。
いつも側に我が子がいながら何故かこの世に親子二人取り残されてる気分になる。
不安で怖くて、だから共感出来る人、話を聞いてくれる人を欲しいと強く願う。
だから、少し話して良い感じだとホッとして、凄い引力で引き合ってしまう…その時は。

でも、付き合っていく内にいつか歪みが生まれる。
本作品でキーになっているお受験への価値観もそうだけど、育児のやり方、考え方の相違などを
きっかけに、様々なネガティブな気持ちが生まれ良い関係を保てなくなる。
気が付くと母達は、出口の見えない暗い森を彷徨い続ける魚になる。

子供がいるから仲良くなれた人達、子供がいるから関係がこじれてしまった人達…
私にもこの両方の人達が存在する。
こじれる時は本当に苦しくて、あの時の私もまさしく暗い森を彷徨いろくに息も出来ていない、
あっぷあっぷした魚みたいだっただろうな…
醜く腫れあがった死にかけの魚(笑)

でもそれも全て私にとってもう過去の事だから楽しめたものの、あの時を思い出したのか
読んでて結構苦しくなった。
まるで真梨作品を読んでるかのようにある意味グロさを感じながら。
実際はそこまでグロくは無いけど。
そして、こう言う母達の苦悩は、やはりどこでもあって多くの母達が経験するんだなと実感。

以前文京区で起きた事件、母親が我が子と同級生の子供を殺害した事件を本作品を読んで
思い出したけど、やはりあの事件を背景にして描かれてるっぽい。
綺麗な町で綺麗な幼稚園に子供を通わせるのは一見素敵だけど、その中に入り込んでいくには
相当ハートが強くないとあかんのよね…

あの文京区の事件、当然許してはいけない事件だけど、その背景やらを知れば知る程当時の私は
犯人を責める気持ちになれなかったなぁ…
あの親子さえいなければ…私も何回思ったか分からん。
なんであの親子から逃げるように、避けながら生きなあかんのか…
自分の弱さを責めたり相手を責めたり…

核家族が当たり前の今の時代、母達は孤独で視野がどんどん狭くなっていくから何かトラブルに
ぶつかると若い時以上に追い詰められるし、また子供の事となると自分の事以上に苦しい。
子供の為にも、母達がのびのびと育児出来る国になればいいのにねぇ…

『悦びの流刑地』

悦びの流刑地悦びの流刑地
(2003/03/05)
岩井 志麻子

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昭和初期、下町に暮らす盲目の弟は美しい姉との背徳の関係に耽りながら虚構の世界に堕ちていく… 

おもしろかった。
エロティックでありおどろおどろしくもありサスペンスチックでもあり。
村上春樹のエロスが凄く評価されるけど、私はこう言う感じの方が好き。 

近親相姦、殺人…人間の飽くなき欲望が生々しく描かれるも、それら全てが
美しい情景のように惑わされそうになる程の圧倒的な文章力。
日本語の美しさを実感する作品。

テレビでエロい事ばっか言ってる岩井志麻子さんって凄い作家さんやねんなって
改めて思い知らされました。

『ユリゴコロ』

ユリゴコロユリゴコロ
(2011/04/02)
沼田 まほかる

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恋人が去り母親を亡くし父親は余命僅かと言う現実に悩む主人公が、
ある日実家で衝撃的な話が書かれたノートを見付ける… 

久々のまほかる作品。ずっと読みたくてなかなかげっと出来ずようやく出会えた。
面白かった。でもちょっと期待し過ぎたかな。

まほかる作品って事でドロドロを期待し過ぎた(笑)
確かに主人公が見付けたノートの中身はサイコスリラー的だったけど、その行きつく先は
意外と感動的なものだった。
いや感動的で大いに結構なんやけど、感動の中にもやりきれない残酷さを期待してた私は
どんだけやねんw 

ちょっと腑に落ちないような…ちょっと無理のある部分もあったけど、
でも一気読み出来たし面白かったです。

『マザーズ』

マザーズマザーズ
(2011/07)
金原 ひとみ

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幼い子供を同じ保育所に預ける作家、モデル、専業主婦3人の母達のそれぞれの
母としての姿を描いた作品。

良かった。泣けた。金原ひとみ作品で共感したのも泣いたのも初めて。
でもさすがは金原さん。展開がちゃんと待っていた。
油断してたわw

表紙の帯で「母であることの幸福と凄まじい孤独…」と謳われてるけど正しくそう言う内容。
仕事を持つ母、持たない母、人生観、子育て観の違う母、3人それぞれの育児…
私は3人の中でもやはり専業主婦の母に共感するところが最も大きかったけど、
読んでて自分の事かと思えるほどだった。

本作品はやはり母であるか無いかで感想は変わってくるだろうし、また子供を持っていても
「子供って可愛くて子育てって楽しい」と思ってる人が読んでもただ不快なだけかもしれない。
この物語は子を持つ事の尊さ、我が子への限りない愛、と同時にそれらと同じ深さの孤独、
地獄が描かれている。

子育ては地獄だ。修行だ。
私しか頼る事の出来ないか弱く圧倒的な存在がある日突然目の前に現れ全てを変える。
殆どが自分の思うようにはいかず、多くのものを奪っていく。
と同時に自分の命を犠牲にしてでも守らなければと言う愛、無償の愛が生まれる。
母親は、その地獄と大きな愛の間で揺れ続ける。

子供が可愛い、子育てが楽しいと言う母と会うとそれは嘘に聞こえつつ、
酷い自己嫌悪に陥った。
でもこの『マザーズ』を読むとそんな自分を肯定とまではいかなくても、
慰める事が出来た。
と言うか…あの時の気持ちは決して正しくは無い…
でもあれも間違いなく母としての思いだった…そう思える。

金原ひとみ作品はいくつか読んだけど、だいぶ違う感じ。
やはり彼女自身が母になったからだろう。
これまでは彼女の脳内に繰り広げられる痛みを伴うグロテスクな描写が多く
読んでいてもなかなか共感出来なかったけど、初めて心にスッと入ってきた。
とはいってもやっぱり残酷な場面はあったけど…

『マザコン』

マザコン (集英社文庫)マザコン (集英社文庫)
(2010/11/19)
角田 光代

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主人公の母への思い、その思いを抱きながら今を生きる姿が描かれたオムニバス

背景やキャラは違うけど、共通してだいたい母親に良い思いを抱いていない主人公達。
どの話にもオチが無く中途半端に終わってる感あり…
なので何となく消化不良な気持ちが残るけど…

母親は間違いなく自分の人生に多大なる影響を及ぼし、人は大人になっても
尚母の影を追ってるところがある…そう思わされる作品。

角田さんは割とよくと母子をテーマにされる。
母性とか、子供から母への思いとか…
確かに母と子の関係って人間にとって一番深くて太い根っこの部分やからね…

『夜の桃』

夜の桃夜の桃
(2008/05/22)
石田 衣良

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仕事も順調、妻と愛人とも良好な関係を続ける40代男が契約社員の若い女にハマってしまう物語。

エロい!石田衣良さんの作品は官能的なの多いけど、私が読んできた中では本作がNO.1。
週刊○○とかに連載されてそうな感じw ここまでとは思わんかったなぁ…

中年男の純愛と言うよりはあくまでもSEX、体の相性がテーマ。
これ読んで思い出したのが『失楽園』。その快楽は地獄に繋がるってやつ。
皆が皆この話に当てはまるとは思えないけど、男の性、女の性が大胆かつ繊細に
描かれててまぁ面白かった。
私的には主人公の元気さになんか笑えたけどw