監督:スタンリー・キューブリック
CAST:マルコム・マクダウェル、パトリック・マギー 他
近未来、暴力とSEXに明け暮れていた不良グループのリーダー、アレックス(マルコム・マクダウェル)は、ある日仲間にはめられて殺人容疑で逮捕される。アレックスは早く自由になるために、ある実験の被験者になる・・・
故スタンリー・キューブリック監督による、今尚カリスマ的人気を誇る傑作。
ようやくまともに全編見ましたよ。遅いでしょ~遅いよねぇ・・・
映画を見るようになってから約30年の間、一度もこの作品ちゃんと見てなかった~


もちろん知ってましたよ。この作品のことは。
じゃ、何故これまで見なかったかっちゅうと、私の、かなり偏った先入観によるもので。
この作品の存在を知ったのは多分20年ぐらい前。心が今よりヤワヤワで、ピュアピュアだった頃の私。
何故この作品を知ったのかはよく覚えてないけど、とにかくこの映画の一場面を見ることとなり、
嫌悪感を感じた・・・のですよ、確か。
今でも基本的にバイオレンスシーンは好きじゃなくて、どんなにそこに意味があってもリアルな残酷シーンは
作り物と分かっていてもダメだったりして。
こんなだからその頃の私と言ったら、拷問、リンチ、レイプと言った類の場面がある作品に対しての拒絶反応たるや
すごかったのですわ・・・・

もちろん昨今の映画に比べたら、その当時のそう言うシーンは今思えば可愛いもんなんだけど、それでも
その時はとにかくダメだったのですよ

で、この作品の、アレックス達がある家に押し入って、高らかに笑い声を上げながら女性を担ぎ上げた
シーンを見てしまってダメ・・・・この作品に対しての先入観が出来上がってしまったというわけ。
それ以降、片目に付け睫を付けたマルコム・マクダウェルの顔が怖くて仕方なくなってしまったのですね。
で、それから20年が経ち、ようやく封を解いたと言うわけです・・・・はは

で、感想ですが・・・なるほどぉ・・・・
確かに1971年に作られたとは言え35年経った今でも全く違和感を感じないストーリーは面白い

もちろんベトナム戦争まっただ中のその当時の若者の間にも、ドラッグ、暴力、SEXが蔓延し、それらを
皮肉ったものかも知れないけど、とにかく何もどこにも古さを感じさせない。
序盤ではアレックスは諸悪の根元のように見えるも、結局彼をそうしてしまった親、社会、更に彼を
操作する大人達それぞれも皆更に上を行く「悪」であり、最終的にはアレックスに同情や愛着さえ感じてしまい、
時計じかけでは何も解決しないという事を気付かされる。
そして、終始暴力とエロが描かれているようだけれど、ポップでクール、そしてユーモラス。
色彩は鮮やかで、台詞はロシア語と英語のスラングが組み合わされ、音楽はベートーヴェン。
そして、格好いいほど邪悪で、情けないほど哀れなアレックスを圧倒的な演技で魅せるマルコム・マクダウェル。
その全てが強烈で、可笑しくもあり汚らわしい・・・・
この作品は元々1962年に書かれた近未来のディストピア小説だけれども、45年経っている今現在
決してこの内容と遠くない現実があります。
若者の非行、暴力とSEXは、いつの時代も永久に変わることのない社会問題。
だからこそこの作品はいつ見ても新しいのかも知れないけれど、その内容が更にショッキングに色づけられ、
視覚に聴覚に強い刺激を与え、脳内に色濃くその残像を残します。
私的に決して好みの作品ではないけれど、永遠に語り継がれる傑作であると言うことは納得でござる

non的お気に入り度:


