監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク CAST:ウルリッヒ・ミューエ、セバスチャン・コッホ 他
アカデミー外国語映画賞受賞
1984年、東西冷戦下のベルリン。国家保安省のヴィースラー(ウルリッヒ・ミューエ)は国家に忠実な局員だった。ある日ヴィースラーは、劇作家のドライマン(セバスチャン・コッホ)や彼の恋人の女優クリスタなどが反体制的であるとして、彼らの家の監視を命じられる・・・
「善き人のためのソナタ」・・・それはベートーヴェン作のピアノ・ソナタ「熱情」。
それを心から聴くと誰しもが善い人になり革命心が萎えるとして、レーニンが拒絶した曲。
東ベルリンで社会主義国家の忠実な下部としてただひたすら反体制の人間達を、淡々と冷徹に追いつめてきた
ヴィースラー。
彼はある日この「善き人のためのソナタ」を聴くことになる・・・それはいつもの任務の中で。
劇作家と女優の生活を監視している中で、その曲を聴いてしまう・・・・
オスカーを受賞したこの作品。素晴らしかった

今年見たDVD映画の中でNO.1かも。
舞台は冷戦下の東ベルリン。国家が国民の全てを把握している国・・・恐ろしいことです。
自分の国の政治家についての批判も、冗談すらも言えない。出版物も報道も全て制限される。
少しでも疑われれば、自分の生活全てを覗かれる。
要するに、表現や思想の自由が許されない。人間にとってこれほど不幸なことはないでしょう・・・
主人公のヴィースラーは、あくまでも社会主義思想に傾倒し、国家の為に黙々と働く局員。
反体制的な人間を冷淡に追い詰める人。
しかしそんな彼の心が、劇作家と女優の生活を監視した事で変化していきます。
人が愛し合いいたわりあう姿を見、音楽や文学に触れ、彼は彼自身が「人間」であるという事を
思い出したのかもしれない・・・・
この作品、何と言ってもヴィースラーに扮した主演の役者さんの演技が素晴らしい。
でも、この後亡くなられたとか。大変残念です。
感情表現の無い石のような男が少しずつ変わっていく様子は見事。
目だけで全てを語る演技がほんとに素晴らしいです。
今ではベルリンの壁は崩れ冷戦も終わりました。
しかしドイツは第二次大戦後何十年も同じ国同士で反目し合い、東側ではこの作品のような事が当たり前
だった。
多くの人が監獄に入り、職を奪われ、殺され、自殺したのです。
この作品はそんな当時の東ドイツの実状が描かれている一方で、冷たく暗く重い世界の中でもいつかきっと人は
人の心を取り戻せるという望みを見出せるものでした。
ラストが凄く良いぃぃ~~

non的お気に入り度:




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