監督:黒澤清 CAST:小泉今日子、香川照之、小林友 他
カンヌ映画祭「ある視点部門」 審査員賞受賞
平凡なサラリーマンの佐々木竜平(香川照之)はある日突然リストラを言い渡され退職し、家族には内緒で職を探し出す。そんな中、次男の健二(小林友)がピアノを習いたいと言い出すが、竜平が大反対する。そして長男の貴は、アメリカに行って軍隊に入隊すると言い出す・・・・
リストラされた父親、黙って不満を溜め込む母親、家庭に背を向ける長男、1人孤独に墜ちる次男、、、、、
かくも哀しく滑稽なこの物語の家族は、今まさにこの日本にとってタイムリーな、象徴的な家族で、その風景は
どれも決して他人事では済まされない。
株価暴落のニュースが飛び交う昨今の世情を、そのまま映し出している。
リストラされた父親は絶望しながらも家族には自分を偽り続け、いつしか家族それぞれの心のベクトルが
違う方向を向き、元に戻したいと願いつつもその術も分からず・・・
本来家族は皆で一つの船を漕ぎ、苦しい時もお互いを思いやり乗り越えなければならないもの。
確かにこの時代、安定した生活の中で子供を育てるというのは簡単なことではない。
ともすればそれぞれがそれぞれに、濁流に飲み込まれそうになる。
けれども何があっても家族は共に手を取り助け合って乗り越えていきたい・・・・
たとえ他人と上手くいかなくても、家族とはそのような存在であって欲しい・・・・・
自らの恥を堂々とさらけ出し、そして受けとめ合う、唯一無二の存在であって欲しい・・・・
この作品を見ると、その船の漕ぎ手である親、、、、親がぶれると全てがぶれると言うことを改めて痛感します。
親がぶれると、いつか社会に飛び立っていかなければならない子供が、1人の人間として巣立てなくなる。
しかし親が、親たるプライドをかなぐり捨て真っ正面から家族に向き合うことが出来れば、それが出来れば
もしかしたら大人より純粋で大人より逞しい「子供」が家族に癒しを届け、立て直すきっかけをくれるかも
しれない。
子供って、、、、、素晴らしいのです、、、、、それは家族の光であり希望であり、命だから、、、
か弱く情けない、大人の目を覚ましてくれるのは、やはり「子供」なんだ・・・・
失業した事を家族にうち明けられない父親に、大好きな役者さん、香川照之さんが流石の演技。
彼の情けなく失望した顔は、最早芸術的!
そして、崩壊しそうな家族を見守りつつもどこかで解放されたいと願う主婦に、キョンキョン。
彼女は上手よね。。。こういう飄々としながらもどこか哀しいキャラ。
映画としては最後まで退屈することなく登場人物がどうなるかに目が離せず面白かったけど、後半、突然
展開が変わった場面で賛否が別れそう・・・・
あの場面が邪魔になるかならないかで、かなりこの映画の感想が変わってくると思うな。
私的には全くそこに違和感を感じなかったわけではないけど、ラストはやはり涙を流さずにおれませんでした。。。。
non的お気に入り度:


