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『怒り』



『悪人』に続き吉田修一原作の作品を李相日が監督した作品。

「怒り」という血文字が書かれた殺人現場から逃走した真犯人を、
三つの場所それぞれで繰り広げられる人間模様から追っていく話。

「悪人」も多分原作読んでから映画見て、本作品も原作から映画見て。
原作読んでから映画見るとやっぱりどうしても、原作が面白ければ面白いほど
がっかりさせられることが多く。
余程違った角度から余程面白く作られてる場合を除いて。
で、「悪人」は原作も良くて、映画も良くて、珍しくどちらも大好きなのですけども、
本作品に関しては、原作の方がいいかなぁ私は。
と言うのもやはり、一言で言って真犯人知っちゃってるから^^;
これはかなり大きいかな。
「悪人」に比べたら物語の複雑さも影響してるのかもしれないけど、多分結末知って
しまってるって部分がどうしてもね。

でも、色んな場面で色んな人が登場して色んなドラマが描かれててちょっとごちゃついてるはずの
物語を分かりやすく、そして真犯人か?と疑わしきキーになる3人の姿を絶妙に描いてる辺り
さすが李監督。
キーになる3人は、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛なんだけども、確かに彼ら似てなくも
ないのよね。
途中モンタージュみたいなのとか出てくるけどそれも分かるような分からないような感じで。
原作知らなかったら、誰だろ?誰だろ???って面白かったかな。
いや、途中で分かっちゃったかな。

役者は言わずもがな名優揃いなので文句なく。
愛する人を信じることが出来るのか試される苦悩、やり場の無い怒り、憤懣を沸々と
煮えたぎらせた人間の狂気などを名優達が迫真の演技で魅せてくれて心打たれました。
今大人気の広瀬すずちゃんの演技を初めてまともに見たけど、彼女が魅力的なのが
よく分かった。

『ダゲレオタイプの女』



『岸辺の旅』に続いて黒沢清監督作品。
舞台はフランスでフランス人俳優のみ出演。

ダゲレオタイプで写真を撮っている写真家と仕事をすることになった若者が
写真家一家に翻弄される物語。

ダゲレオタイプとは、世界で初めて発明された写真撮影法。
被写体を長時間器具などを使って固定し撮影するとっても大変な撮影法。
写真家のステファンはダゲレオタイプの撮影に拘り続け、かつては妻、妻の死後は
娘をモデルにして撮り続けている。
でも撮影がとっても大変で娘のマリーはいつもぐったり。
そんなマリーと、ステファンを手伝っていたジャンはほのかに思いを寄せ合うんやけど、
なんかこのお宅、闇がある。
物語の冒頭からそんな感じはあって、その内マリーの母親が自殺した過去だったり、
その事を悔やみ続けている父親が大変な人だったりという事が分かってくる。
で、やっとマリーに明るい未来が…ってところでハプニング。
そこから先は、ちょっと『岸辺の旅』に似たところもあって、現実なのか妄想なのか、
この世にいるのかいないのかみたいな展開に。

この作品、私は嫌いじゃない。
どうなるんだろうという展開に退屈はしなかったし、主人公のロマンスが切なくて心に残った。
どこからが現実でどこからが現実ではないのかと言う部分も見る人によって違ってそうで
そういうところも面白いし。

海外でも評価の高い黒沢監督作品だけあって、良い役者さんが出てくれてる。
マチュー・アマルリックがめっちゃちょい役で出てたりしてなんて贅沢!
ジャン役の役者さんも注目されてる実力派みたいで、この人の演技が凄く良かった。
濃いお顔だけど笑うととっても可愛いし(←結局そこ)。
特にラストシーンの演技、現実に気付いて、でもやっぱりおかしい…みたいなところの演技、
ここの彼の演技がこの作品の全てを語ってるというか、そのシーンが一番胸に刺さった。
マリー役の女優さんも独特。
華奢で真っ白で透明感があって綺麗なんだけど、幸薄そうな、寂しそうな人。
斜視気味の薄い色の綺麗な瞳が微妙に動くから、どこを見てるのか、何を考えてるのか
分からないと言うような、とても不思議な感じの女性。
だからほんと、この役にビンゴ。

黒沢監督は、恋人同士の描写など、フランス人として不自然ではないのかと確認しながら
撮影を進めていたそうで。
で、この作品軽くベッドシーンがあるんやけど、そのシーンは役者さん側から入れた方がええやろー
と提案されたものらしく。
監督は不要と思ってたみたいだけど、フランス人的感覚ならここまで来たらベッドインでっせとw
私としては、うーん…まぁ別にそのシーン無くても…って感じやけど、あちらの人にとっては不自然
なんでしょうね、相手が幽霊でも^^;

『岸辺の旅』



カンヌ映画祭「ある視点」部門監督賞受賞作品。

3年前に失踪し死んだはずの夫と妻が、過去に夫が関わった人達に
会いに行く旅に出るお話。

幽霊になった夫と旅に出てつまりは妻が夫への愛を再確認するというお話で、
二人の旅が静かに穏やかにどこか物悲し気に描かれてる。
こういう儚い、悲しい女性の役に深津絵里はほんとぴったり。

旦那様は幽霊やけど見た目普通に人間で、何の違和感もなく二人で旅に出て色んな人に会う。
その中には夫と同じく幽霊の人もいたり、そうじゃない人もいたり。
だから見てる内にどれが現実でどれが現実じゃないのかよく分からなくなってきたり。
なんだかとっても不思議な作品。
夫婦愛が描かれてることだけはよく分かったけど。

良い作品だと思うけど退屈と言えば退屈。
好き嫌いが別れそう。