第142回直木賞受賞。
名家に生まれながら強いコンプレックスに苦悩する主人公が、恋愛、結婚、
様々な出会いを通して思う人生の意味、本当に大切な人とはを描いた作品。
もう一遍の『かけがえのない人へ』も同様、主人公にとっての大切な人とは、が描かれている。
この二編、『ほかならぬ』と『かけがえのない』の共通点は、主人公が申し分の無い
家柄出身でありながら家族を愛せず、人生を謳歌出来ていないところ。
違いは前者は苦悩しながらも生きる意味、ベストパートナーの意味を探り続け、
後者は流されるまま生きる中ベストパートナーに気付くと言う感じ。
生きる姿勢や人との出会いに於いて思い入れが違うそれぞれの主人公だけど、
どちらもいつかこの人こそ自分にとってベストだと気付く時が来る。
でも人生は皮肉…
物語中の文言にもあるけど人生のベストパートナーだと分かる「証拠」ってなんでしょうね。
それがこの二つの話のキーなんだけど。
結婚相手が自分のベストか、皆一応それは思うだろうけど、本当にベストかなんて分かる訳が無い。
結婚を後悔してる友人がどれ程いる事か…
でも彼女達もその時はその人がベストだと思ったんだと思うし。
そして、結婚当初に「証拠」とやらがあったとしてもその定義も変わったりするし。
白石作品はこれで二つ目。
確か前の主人公も恵まれた環境にいながら悶々してて現代版人間失格みたいって
思った覚えが。
この手の主人公の話は嫌いじゃない。
その悶々が面白いし、前向きに生きていくヒントにもなる。
でも白石さんの文章は時に長々と説明臭くて入って来にくい箇所があるのも正直なところ。
また、主人公がボンボンお嬢ちゃまだからか、白石作品が苦手って人もいるみたい。
私はまだ二作しか読んで無いし、もちょっとチャレンジしてみようかな…
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