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映画、読書感想などボチボチ書いていきます★
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『女ともだち』

女ともだち女ともだち
(2006/06/23)
真梨 幸子

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高級マンションで起きた連続殺人事件の謎を女性ライターが追うミステリー。

『殺人鬼フジコの衝動』『みんな邪魔』と本作が真梨作品のどろどろ三部作だそうで。
どろどろと言うかグロテスク…あ、それってどろどろかw 
私的には『弧虫症』の方がどろ度が高い様に感じる。

女友達同士の関係のどろどろが強く描かれてると思ったけど、それよりは孤独な女達の
哀しい事件みたいな感じ。
登場人物の持つ闇があまりに濃過ぎて友人関係云々はあまり印象に残らない。
そして事件の真相が見えそうで見えない展開に焦らされて一気読みしてしまう。
そこら辺は流石と言うか。

真梨さんってほんと女のどろどろ書くのがお好きみたいで特に高級マンションを舞台にされる。
一見勝ち組に見える女達の本当の姿みたいな。
私が彼女の作品を手にしてしまうのは、自分もかつてそう言う世界にいて今はそこから
抜け出しているからかも。
私が居た世界も結構などろどろやったし。

『影法師』

影法師 (講談社文庫)影法師 (講談社文庫)
(2012/06/15)
百田 尚樹

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江戸時代、厳しい身分制度故の理不尽な世の中にあって潔く生き抜く武士達の生き様、
友情などが描かれた時代小説。

号泣はしなかったけどホロっと泣けた。
侍の心の美しさに泣けた。
光と影…そのどちらもが美し過ぎて泣けた。
しかしどっちかって言うと男性向きの物語。

江戸時代、武士間にも激しく理不尽な身分制度があった。
主人公やその友人達はそんな中でも常に前を向いて侍然とした生き方を貫く。
その姿は現代に生きる私達では勿論理解し難いもの。
どうかすると切腹、何をするにも命を賭す。
しかしこれが日本人の「美」のひとつだったのだろうと思う。

本作品は百田さんが思う究極に格好良い男の作品。
我を失くして相手を立てる事のカッコ良さが描かれた物。
実に惚れ惚れする程素敵な男達だ。
じゃあ今ここまで出来る男はそうはいないとは思うけど、家族の為、友の為、愛する者の為に
身骨砕く男はいるはず。
だから、働くお父さんは皆侍です。

最後に袋とじがあり。
それを読むのは自由で、読むなら本文を読み終えた数日後にして欲しいと百田さんは
述べられてるけど、確かに読んだらまた感想変わってくるかな…
百田さんの仰る通り要らんと言えば要らんけど、あったらあったで改めて感動する人もいるやろな…

 

『孤虫症』

孤虫症孤虫症
(2005/04/01)
真梨 幸子

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高級マンションに住む主婦の不倫相手が次々と死んでいく…その謎を追った作品。

あまり何も考えず手に取った作品やったけど…何ともエロい、グロい、変てこぉ~…と思ったら
メフィスト賞受賞作品やった。
なるほど、そう言えば乾くるみさんの『Jの神話』にちょっと似てる。

しかしほんと女流作家さんの作品ってなんでこう、エログロ&残酷なのが多いのかしらね。
でも変な話、今の私にとってはこのグロさ、先が読めない、でもその先を知りたくなる
こういう作品がぴったりなのか、昨日一昨日野球見ながら一気読みしてしまったほどw
結局オチは、はぁ?みたいな感じやけど。

『暗渠の宿』

暗渠の宿暗渠の宿
(2006/12)
西村 賢太

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内容は「けがれなき酒のへど」と「暗渠の宿」の二篇。どちらも著者本人と女性との話。

「けがれなき…」は風俗嬢に入れ込んで金をだまし取られる話。
「暗渠…」は恋人との同棲生活の話。又いずれにも著者が尊敬して止まない作家、
藤澤清造の事が詳細に綴られている。

どうも私は西村さんのファンになったようで。
何だろなぁ…この人の書く文章にはなんか惹かれる。
古い言い回しなんだけど、やっぱりその下品でシニカルな表現にたまらなくそそられる。
本作も二篇いずれも著者のどうしようもない性格が災いしての話で、それがどうにも面白い。

自他とも認めるかなりの難しい性格で、だからたいがいの人とは上手くいかないのに
そのくせ人恋しくて、風俗では飽き足らず心の通った恋愛がしたくてでも結果失敗して…
そもそもこの方、別段イケメンでも無いのにちょいちょいご自分を大棚に上げて人を蔑む
と言う悪癖があるからねwそれがおもろいのよ

正直作品中に出てくる藤沢清造なる作家の事は興味無いんだけど、でも彼のその作家への
熱い思いも物語の一部ではあるから目は通すけど…って、愛読してても藤澤清造氏の事
そんな風に言ったら西村さんきっと「頭の足りんちんちくりんのおばはんがー!」って
激昂して私の事罵倒するんだろうな。あははw

『苦役列車』

苦役列車苦役列車
(2011/01/26)
西村 賢太

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第144回芥川賞受賞。性犯罪者の父親を持った若者の苦悩に満ちた生き様を描いた作品。

おもろかったー♪好き、この作品。主人公の若者はこの著者である西村さんの事らしく、
ほんまに?って思ってwikiってみたらほんまやったw 
この方は基本私小説を書かれてるのね。

父親が犯罪者と言うのはあるにしても、この主人公は実に自堕落でその場主義で他力本願。
どうしようもないし何をやってもダメダメなんだけど、私には何故か悲壮感が感じられなかった。
古い小説家に強い影響を受けた西村さんならではの独特な文面でありながら、お下劣でストレートな
描写が痛快。

主人公(西村さん本人)の恥ずべき内面が客観的な視点でいちいち明確に記され、
それがなんか可笑しくて… 
ほんとにほんとにアホでダメダメ過ぎるんだけど、主人公に降りかかる事全ては
身から出た錆である事を踏まえた上での展開に、やるせない哀愁さえ感じてしまった。

『くまちゃん』

くまちゃんくまちゃん
(2009/03)
角田 光代

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クマの絵柄の服を着た青年との恋愛物語から始まる様々な物語。

1話が終わったら2話目は前の話で登場した人物の新たな恋の話…というようにオムニバスで
ありながらどこかで繋がってるのが面白い。
登場人物それぞれの20代後半~30代半ばまでの恋愛、人生…

話によって主人公が変わる分内容も変わってくるけど必ずどこかが共通してる。
恋愛をしたら仕事は…以前の恋愛と今はどうなのか…
ある程度同じテーマが投げかけられながらもキャラクターによって違ってくる
内容の対比がまたおもろい。
登場人物みなキャラが良いのも読みやすいところ♪

これまでドロドロ小説続いたから久々に穏やかな気持ちで読めた(^^)
そして角田さんの不思議なのは、決して単純な文章では無いのに目で追っていくだけで
その描写がするするーっとこちらに染み込んでくるところ。
登場人物に共感は出来なくても分かりやすいと言うか… 
さぁまた新しい本探さにゃな…

『アミダサマ』

アミダサマアミダサマ
(2009/07)
沼田 まほかる

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廃棄冷蔵庫から発見された少女を巡っての不思議な物語。

これまで私が読んだまほかる作品の中で最もホラーテイストが強い。
少女の存在が周囲の人を狂わせ、何故そうなるのか分からずどうなるのか気になって
どんどん読み進めてしまう。

様々な不思議な現象の描写が何とも気持ち悪い。
でも入っちゃうんやなぁ… 

信仰心とはどういう事か、何かに依存する人間の弱い気持ちとは何なのかが
書かれてるのかなぁとも思うけど、いまいち掴みどころの無い作品でした。

『彼女がその名を知らない鳥たち』

彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)
(2009/10)
沼田 まほかる

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過去の男への思慕にとり憑かれた女とその女に献身的に尽くす醜い男の物語。

重苦しい話だけど面白かった。
前に読んだ同著者の『九月が…』より読みやすい。
でも、愛憎、肉欲に溺れる女、女に尽くす不男の存在と言う点は共通してる。

女に虐げられても従順に尽くす不男…
おそらく女は皆この作品中に出てくるこの男に対して嫌悪感を抱くだろう。生理的に。
どうもまほかるさんは、醜い男の献身愛とそれに対する女の心の移り変わりを
描くのが好きみたいね。

内容は終始陰鬱だけど、最後は切なさすら感じる深い愛の物語でもある。

『アンテナ』 by 田口ランディ

アンテナ (幻冬舎文庫)アンテナ (幻冬舎文庫)
(2002/06)
田口 ランディ

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加瀬亮君が主演してると言う事だけで見た映画、 『アンテナ』
この映画、加瀬君の熱演も助けてだけど思いの外興味深い物だったので、ベストセラーになった原作を
読んでみました。

原作と言うのは勿論映画より、より詳細であることは当然で、映画には無かった部分が多々あるのも当たり前。
で、この作品はというと、あの暗く重い映画を更に重くしたような・・・
色んな意味でヘヴィに書かれていて、この原作をそのまま映像にするとグロテスクなだけのホラーやオカルトに
なってしまうかもしれない・・・と言うような感じ。
と言うことで映画版はかなり美化されているとも言えます。
でもまぁ、あの短時間に、しかも要点だけを上手い具合に抜粋してまとめ、見てるこちら側の心に響くように
作られている点には改めて感心させられてしまうのですが。
それ程原作は、複雑で残酷で闇が深く、そして何と言ってもとにかくグロい。
性描写も悪夢も妄想も、いちいちグロテスク。
読んでいるだけでその暗く生臭い世界に引きずり込まれてしまいそうなぐらい・・・

人は「死」によってその存在が無くなる意味を理解する。
でもある日それが突然消えた場合、その「消失」をどう考えるのか・・・・
少なくとも主人公祐一郎の一家は、いなくなった妹の陰をそれぞれが追い続け、それぞれが妄想を膨らませ、
歪な家族となっていた。
そして祐一郎はSMの女王様、カオリに出会って溜め込んでいた物を解放し、妹の消失への自分なりの
対処法を何とか見出すのだけど、それまでの過程が何とも衝撃的で過酷。
映画でも祐一郎は、性欲を解放していくのに比例して前へ進んでいくのだけど、原作ではその様子が
もっともっと生々しく、なんともえげつない描写で描かれています。
それ程に彼の闇は深く、本来人が成長と共に得る正常な性欲を、無意識的にものすごい力で封印してきたと
容易に想像できる。
「人は性欲に支配されている」と言う言葉が出てくるほどこの作品を読む上で「性」を切り離すことは出来ない。
でもそれは決して猥褻な意味では無く、人として生きる当然のエネルギー源として書かれてるのだと
思うのです。
祐一郎は恐ろしいまでに目覚めた自分の性欲と向き合い、それを乗り越えて初めて、いなくなった妹と
まともに対峙できるようになった・・・・

この作品では終始、性欲も含めて人の奥底に眠る潜在意識について触れられています。
人はみな潜在的に様々な事に気付いているけど気付いていない・・・・気付こうとしていない・・・
この作品中では、それらに気付き向き合い、表現しているのが弟の祐哉とカオリなのです。
私自身は霊感が無いと思ってるけど、そう言う世界には興味もあるし科学では説明できない世界がある
と言うのも信じています。
この作品ではある部分非科学的で、そしてある部分とても科学的。
オカルトめいた部分もあれば、そうでないところもある。
きっと弟の祐哉とカオリは少なくとも霊感の強い人なんだろうけど、それらはあくまでも彼らの「妄想」から
来ているのだと説明されてるところもあるのです。
それがどちらかなのかは読んでる人の解釈に委ねられるところなんだろうけど、でもこの作品中にある
「直感は完全で、言葉は不完全」という一文に、私は凄く納得させられる。
だって実際、人の言葉より直感の方が頼りになったりするでしょ。
人って元々犬とか猫みたいに、祐哉やカオリみたいにもっと鋭かったんじゃないんだろうか・・・
これは以前から私が勝手に思ってることだけど。
本当はみんな何かを感じてる・・・みんなアンテナを持ってる・・・
それは「無意識」という物の中に納められて忘れられているだけで、本当は色んな事を見て、感じている・・・

世間体や理性を言い訳にして、色んな欲や思いを抑圧している現代の人間。
「家族の失踪」を軸に、か弱くそして強く、欲深い現代の人間の性(さが)があからさまに描かれたこの作品。
誰もが共感できる物とは思わないし、寧ろ嫌悪さえ感じてしまうかも知れないけど、私は映画とはまた違う衝撃を
改めて感じ、とても興味深く読むことが出来ました。