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映画、読書感想などボチボチ書いていきます★
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『ファミリーポートレイト』

ファミリーポートレイトファミリーポートレイト
(2008/11/21)
桜庭 一樹

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母、マコと二人で14歳まで流浪の生活を送った娘、コマコの半生を描いた作品。

長い!でも面白いし読みやすいしあっという間に読めた。
物語は大きく二つに分かれる。
前半は娘の5歳~14歳まで、母娘の逃亡生活。
そして後半は母と別れた後の娘のその後。

前半は、それは残酷でそして愛に溢れた母娘の物語。
娘は何も言わず母に絶対服従。どんな目に遭っても母の為に生き続ける。
その部分は『私の男』の母娘版ともいうべきか。
いやあれより恐ろしいけど…
そんな母娘の流浪生活は、怖いけどでも覗いていたくなる痛々しい愛が溢れた物語。

後半は14歳まで異常な環境におかれた娘が突然現実の社会に引き戻されてからの話。
母の暴力と愛に抱かれ依存し、自らの尊厳全てを奪われながら生きてきた少女が
どうやってその後を生きるのか…
前半の嵐の様な展開は一気に穏やかにはなるが、その後の娘の生き様もまた面白い。

長いと言う事もあるけど、その濃過ぎるぐらい濃い物語にぐいぐい引き込まれ
とても読み応えがあった。
非現実的でどこか夢物語な感じでありながら、でもやっぱりその世界はどこかに
本当に存在するかのように思えてしまう不思議な作品。
『私の男』もそう言えばそんな感じだったな…

母娘の話以外にも、小説が人にとってどのようなものであるのか、そして小説家と言う人達は
どういう人達であるのか…何故物語を書き続けるのか…皆が皆そうでは無いにしても、
なるほど作家さんと言うのはこうして物語を紡ぎ出すのだと思える作品でもありました。

あたしゃ結構厳しいしどっか冷めてるからあんまりうまく子供に愛を伝えられない。
だらしないし自分勝手だし怒ると鬼みたいだし、虐待はしないけど でも娘は従順やねんなぁ… 
桜庭さんの本読んでたら、何となくコマコと娘がかぶったりして…
胸がチクチクしたわ…

『向日葵の咲かない夏』

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)
(2008/07/29)
道尾 秀介

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ある日主人公がクラスメートの死体を発見。
しかし直後に遺体は消え、主人公は妹と共にその謎を追う…

とだけ見ると普通のサスペンスみたいやけど違ってた。
面白かったと言えばそうだけど、理解し難い部分も…
読む人によって解釈が変わってくるかな。

終始陰鬱とした感じが支配していて、主人公が子供って言うのがよりその陰鬱さを
強めてるかもしれない。
今の世の中ほんとにこういう子がいるかもって思わなくもないし。

想像力の欠如は今の子供達が抱える問題のひとつだと思うけど、
その想像力もある一線を超えたら恐怖…なんて思いました。

『猫鳴り』

猫鳴り (双葉文庫)猫鳴り (双葉文庫)
(2010/09/16)
沼田 まほかる

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1匹の猫の一生、そしてその周辺で巻き起こる人間ドラマが描かれた作品。

まほかるさんの作品やからグロいのかと思ってたら違ってた。
生きる事に臆病な人間達と、逞しく生きる猫の対比が面白い。
猫好きな方にはたまらない作品かも。

猫飼ってらっしゃる方には涙なくして読めない作品かな。
ワンコ好きな私でも昔飼ってたワンコとその最期を思い出して胸が熱くなりました。

『僕の中の壊れてない部分』

僕のなかの壊れていない部分僕のなかの壊れていない部分
(2002/08)
白石 一文

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3人の女性と付き合いながら、また心に傷を負った若者を思いながら、
主人公の青年が生きるとは何かを探求していく物語。

何とも屈折した主人公の心の声が描かれた作品。
ほんま、まるで「人間失格」そのものと言って良いぐらいの曲がりっぷり。

3人の女性と深い関係になりながら同時に彼女達を軽蔑し、そして求めまた軽蔑しと言う主人公。
どんなに愛されても愛を受け入れる事が出来ず理屈っぽく。
全て幼い頃のトラウマから来てるらしいが、にしてもグダグダ…
「人間失格」の主人公と違うところはかなり強情なところかな。

身勝手な理屈をこねくり回す主人公に勿論共感は出来ないけど、
生きる意味を探求する上での彼の哲学はなかなか面白かった。

人は何故生まれてくるのか、何故生きるのか…
いずれ皆その時を迎えるのに何故生まれてくるのか… 
私も若い頃そう言う事考えたなぁ…子供が出来て考えなくなった。

「ホームレス中学生」

ホームレス中学生ホームレス中学生
(2007/08/31)
麒麟・田村裕

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お笑い好きなワタクシ、最近流行の芸人本は全部とは言わないけど、面白そうなのは必ず読むように
しております。
そしてこの「ホームレス中学生」は、あらゆる芸人本の中でも記録的売り上げとなり、読まないわけには
いかん!とGETです

著者はご存じ、漫才師の麒麟の片方、田村裕。どっちかというと格好良くない方。色の黒い方の彼。
芸人さんってものすごい貧乏育ちの人が多くて、だからこそそう言う経験が芸に繋がってる人が多いんだけど、
その中でも彼の経験は凄まじい。
何と言っても中学生の頃に親に捨てられてるんですから・・・・
そしてその後一ヶ月を公園で暮らすという、いわゆるホームレスをやった彼の経験談は、これまでも
あらゆるバラエティー番組である程度語られていたので知っていました。
その彼の貧乏体験談を改めて本にして、何故そこまでウケているのか正直不思議でした。

そして読んだ結果・・・・何度も泣きそうになってしまった・・・
そう・・・泣けるんです。この本。
まず、とても読みやすい。ま、田村君が書いたんだから当然ですが、この時代では考えられない彼の
中学から高校にかけての壮絶な体験と、そして何故彼が数々の困難を乗り越えてこられたかが、
実に明快に書かれています。
もちろん流石芸人!と思わせる上手い表現も所々に使われていて笑える部分も多々あり。
そして、彼の出会った人達への感謝の思い、そして何より、彼が小学校の頃になくなったお母様への思いに
胸が熱くなる・・・泣けてくるんですよね・・・

この本は、私のようにある程度年を重ねた人間が読んでも胸に響くけど、何より若い人達に読んで欲しい。
確かに田村君自身の明るく純粋な性格による人徳も彼の人生を助けてるとは思うけれど、
人との出会いがいかに大切か暖かい家があって美味しいご飯が食べれてと言う当たり前だと
思っている事がどれだけ有り難い事なのか
、そしてどんな困難があっても決してクサらない事が人を明るい道に
導いてくれる
言うことを改めて教えてくれます。
後半にもなると随分文章が上手くなっていて、田村君自身が書いてる内に物書きとして成長してると
言うことも見えてくるこの本は、面白くて切なくて暖かい気持ちになる、とても素敵な作品です。